読めば読むほど

読書日記など

2015-01-01から1年間の記事一覧

(ブログ)何を知っていて 何を為すのか

その晩、映画を見てきた帰り道、駅を出たところで父を見かけた。 いつもより良い目のスーツで、シャッターの下りた畳屋の軒先に立って、不機嫌極まりない顔で、煙草に火をつけようとしていた。 家の中ならまだしも、外でこんな顔をしているのは見たことがな…

(ブログ) 意味が生まれるとき  2009年10月02日に考えたこと

情報は、置かれた場所によって意味が変わってくるという。 ある夕方、楽しい集まりが終わって、二次会どうします?と話をしながら電源を入れた携帯で身内Aの危篤を知った。 どうして?今朝、ふつうに話をしたじゃないか。ふつうに新聞を読んで、食事をして…

【本】もののはずみ(堀江敏幸) 小学館文庫(2015)

「ほんのちょっとむかしの」製品で、「捨てられはしたけれど破壊はまぬがれた」ものとの出会いを描く短編集。 それぞれ関連するモノクロ写真と短編がセットになっている形式で、今回特に気に入った短編は、「十九時五十九分の緊張」。オートフリップ・クロッ…

【本】死神の精度(伊坂幸太郎) 文藝春秋 (2008)

作者がブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』に影響されて書いた、と知って早速読みはじめた。死神の行動がすごく面白くて、いや死神本人はあくまでも真面目なんだけど、通勤電車で人前なのに笑い出しちゃった。 ブラッド・ピットの出てくる映画『ジョー・ブ…

(インタビュー)「膨大さに追われずに、バランスよくさっと見て、自分のポイントを見つける」

◇話し手:水野俊太郎 (Shuntaro Mizuno) 1977年東京生まれ。理学博士。早稲田大学高等研究所助教。◇インタビュー日:2015年8月15日◇メモ:インタビュー講座の課題着手にあたり、最初のインタビュー相手を弟にしました。以前から「弟さんはどんな研究をしてい…

能 土蜘蛛

改築間近のホテルオークラへ、母とお能を観に行ってきました。ホテルオークラなんてもう何年ぶりだったか。確か、弟が奨学金を貰って海外留学することが決まって、そのお祝いで、父・母・弟・伯母とで、中華料理屋の桃花林へ行ったのが、およそ10年前。 取…