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読書日記など

能 土蜘蛛

改築間近のホテルオークラへ、母とお能を観に行ってきました。

ホテルオークラなんてもう何年ぶりだったか。確か、弟が奨学金を貰って海外留学することが決まって、そのお祝いで、父・母・弟・伯母とで、中華料理屋の桃花林へ行ったのが、およそ10年前。
取り壊されるともっと早く知っていたら、せめてランチにでも母を連れて行きたかったんだけれど。

この期に及んで真剣に眺めると、あちこちの壁が素材を変えて綺麗に作られていることに気が付きました。
(当然、写真を撮ってまわったけれど、このブログには載せられるのかな?)

内容は、
 ①解説
 ②仕舞
 ③狂言 附子 山本東次郎狂言方大蔵流
 ④能 土蜘蛛 観世清和(二十六世観世宗家)

③の演目は、中学生のとき、学校の体育館で観たことがある。あのときの太郎冠者・次郎冠者は若手で、お殿様がちょっとおっとりした年配だった。
そういうものかと思い込んでいたら、今回は、お殿様が若手で、太郎冠者・次郎冠者が大ベテランだった。
前回は従者の生意気臭さとお殿様ののんびりおっとりした様子が面白くて、今回のは従者のとぼけたずる賢さとお殿様の生真面目さが面白さかった。同じ演目を2回観て比較できるって楽しい。

④の見せ場は、土蜘蛛が手から、しゃーーっ!と、放射線状に蜘蛛の糸を発するシーン。連発すると隅田川の花火にも負けずとても華やかだった。あの映画「スパイダーマン」よりもはるかに歴史が古いのだ、と思うとなんだか嬉しい。

終わってから、舞台上に散らばっている「蜘蛛の糸」を手を伸ばして拾っている人がいたので、参戦して、多少の切れ端をいただいてきた。
パーティーで使うクラッカーに入っているような、薄く細く長い紙だった。この「土蜘蛛セット」を作るのは相当に難しいらしくて、能役者にしか売ってくれないんですって。まぁ売ってもらったところで、あんなに華麗な投げ方なんて真似できるはずもないのですが。

本当にいいものを観ました。